Internet ExplorerでWebサイトが崩れる?大手サイトも切り離したIEとどう付き合うか

PCでWEBサイトを閲覧していると、洗練されたおしゃれなサイトに出会うことがあります。 けれどそのサイト、実はInternet Explorerでは見ることができないサイトなのかもしれません。

今回はInternet Explorerというインターネットブラウザについて、他のブラウザとの違いや、その対応方法について解説いたします。

IE11とは

Internet Explorerの概要

Internet Explorer(以下、IE)はMicrosoftがかつて開発を行っていたWEBブラウザです。最新バージョンは11で、IE11と略されます。WindowsのPCを買った場合、デフォルトで入っていたWEBブラウザなので、初めてPCで WEBサイトを見ていたときに使っていた、という方も多いのではないでしょうか。

IEは1994年に開発がスタートし、それから約25年以上継続的にサポートされていた歴史あるブラウザです。そのため、他のブラウザに乗り換えず、ずっとIEを使用されている方も少なくありません。

2020年5月現在、日本では約5%の方がIE11から WEB サイトを見ているというデータもあります(参考:statcounter)。世界平均が 1.4%ほどなので、それと比べるとかなり高いと言えます。

IE11のサポート状況

さて歴史あるIEですが、サポートの期限が迫っています。Microsoftは公式ページに製品のライフサイクルを掲載しており、IEのライフサイクルについても掲載があります。

ライフサイクルに関する FAQ – Internet Explorer および Edge

製品のライフサイクルの検索

windows OSのライフサイクルについての説明は割愛いたしますが、Microsftが示しているライフサイクルを見る限り、IE11のサポート期限は2025年10月14日だろうというのが推察できます(Microsoft自体はIE11のサポート期限の具体的な日付は名言していません)。

 

IE11 に対する Microsoft の姿勢

「Microsoftが IE11の具体的なサポート時期を明言していない以上、IE11は今後もサポートが継続されて使えるのではないか」

このような疑問が出てくるかもしれません。
しかし、IE11が最後のバージョンで今後のメジャーアップデートがないこと、Micorsoftのサイバーセキュリティの担当者が「IEを使い続けることが企業に「技術的負債」をもたらしている」と発言したこと、そしてIEに変わる新しいブラウザEdgeの導入を勧めていることなどからも、IE11に対してMicorosoft自身が非常に消極的な姿勢であることが伺えます。

IE11に対応するということ

技術的視点から見る IE11

フロントエンジニアの視点から見ると、IE11は開発の足枷になりやすい存在です。理由として、モダンなcssに対応していない、対応はしているけど挙動が他のブラウザと異なる、特定のフォントを使用すると隙間が空くなどのバグ、独自の仕様、解釈などがあるためです。またJavaScriptという言語もあるのですが、こちらもいくつかIEで対応していない記述があります。

もしIE11への対応を行う場合、IE11用に独自の記述をしなければなりません。またその記述が他に影響を与えないかのチェックも必要になります。そうすると、当然のことながら工数がどんどん増えてしまいます。

IE11をサポートするということの意味

日本のIE11のシェア率は5%です。

IE に対応するということは、この5%に対応するということです。そして忘れてはいけないのが、この5%はデスクトップPCのブラウザのシェア率だということです。

少し古いデータになりますが、総務省の調査によると、2017年時点でインターネットの利用端末はPCを抜いてスマホがトップになっています。

総務省|平成 30 年版 情報通信白書|インターネット利用の広がり

総務省|平成 30 年版 情報通信白書|インターネットの利用状況

この時の調査から既に3年が経っており、インターネットの利用端末にスマホを使用している人はますます増えているでしょう。

IE11はスマホにインストールされていません。そして今、インターネットを見る主なツールはPCからスマホに変化しています。IE11に対応するということは、わずかなシェアに対応するということなのです。

IE11をサポートしていないサイト

実際、IE対応を切り捨てているサイトはいくつもあります。 例えば、以下のサイトはすべてIEの対応を行っていません。 それぞれIE11で閲覧してみてください(IE環境がない方用に、IEでの表示も併せて載せています。ご参照ください)。

Apple
IE11Apple

Twitter
IE11Twitter

YouTube 

IE11YouTube

pixiv
IE11Pixiv

slack
IE11Slack

 

Appleのページはレイアウトが完全に崩れており、その他のサイトについてはそもそも閲覧できないことが確認できるかと思います。予想以上に崩れていたり、閲覧ができないことに驚いた方もおられるのではないでしょうか。有名なサイト、サービスを展開もしているところであっても、 IE11の対応を切っているという現状があります。

IE11 をサポートするしないの基準

では、どのような時にIE11の対応をしなければならないのでしょうか。

1 つ考えられるのが、公的な意味合いが強いサイト(行政機関、公的サービス)です。このようなサイトはどのような環境でも閲覧できないと問題ですから対応する必要があるでしょう。その他のサイトについてはターゲットとする層やサービスなどを考慮する必要がありますが、IE11が抱える問題を考慮すると積極的に対応する必要は必ずしもないと思われます。

まとめ

IE はWEBの黎明期を支えたブラウザです。 しかしながら、今では以下の問題を抱えています。

  • モダンなWEBサイトを表現する上での技術的な課題がある
  • 今後、Microsoftからのサポートが期待できないためセキュリティの問題を抱えている
  • IEの対応には工数とコストがかかる
  • シェア率が低いため公的機関以外のサイトで対応する場合、どの程度リターンがあるのか事前の調査が必要

私たちも要望がない限りは、シェア率やIEの制約を勘案し、IEはサポートの対象外とさせております。

しかしながら、様々な理由からどうしてもIEに対応しなければならないという場合、弊社ならこれまでのノウハウを活かし、しっかりと対応できますので是非お問合せください。

本当にIEに対応しなければならないのかも含め、ご提案をさせていただきます。

この記事と同じカテゴリの記事