守破離とは?|ビジネスコミュニケーションおける活用

守破離(しゅはり)」とは、日本の茶道や武道・芸能などにおける師弟関係・修行の段階の在り方のひとつであり、成長のステップを「(しゅ)」「(は)」「(り)」の三つに分けて表しています。

今回はビジネスやコミュニケーションの場面でも有効な「守破離」の考え方についてまとめてみたいと思います。

「守破離(しゅはり)」とは?

  • 守(しゅ)
    師匠に言われたこと、師の流儀・基本の型を守る。
  • 破(は)
    師の流儀を極めた後に、工夫して自分が良いと思った型を作り、既存の型を破る。
  • 離(り)
    独自の境地の中で一流を目指す。師匠の型・自分自身が作り出した型を踏まえたオリジナルに進化し、型から離れる。

守破離(しゅはり)のステップは、まず「(しゅ)」で、師匠に教わった「型」を徹底的に守ることから始まります。

次に師匠の教えに従って修行を重ね、さらに他の情報も学ぶことで、既存の「型」を破ることができるようになります。これが「(は)」のステップです。

さらに修行を重ねることで、師匠から教わった最初の型ではない自分独自の型が出来上がります。これが「(り)」のステップです。

一見「守破離」は、最初の型(師匠の流儀)とは違った別の型へ変化していくもののようにも感じられますが、「守」から「破」、そして「離」と進んでも、あくまで「守」で学んだ根源・師匠からの教えから全く変わってしまうのではなく、「守(基本の型)」の延長線上にあるということがポイントとなります。

ビジネス・コミュニケーションの場面での守破離

ビジネス・コミュニケーションの場面での守破離

お伝えした通り「守破離」は、もとは茶道や武道・芸能などで使われてきた概念ですが、ビジネスの場面・コミュニケーションの場面でも有効活用が可能です。

人と人が情報交換するためには、主に「言語」が使われています。
近年直接会って話す時に可能だった、身振り・手振りや声の調子などの、いわゆる非言語のコミュニケーション手段(ノンバーバルコミュニケーション)の活用が難しくなっている中、「言語」、特に「共通言語」の重要性はますます高まっています

「共通言語」を使うメリットは、大きく二つです

  • コミュニケーションの精度アップ
  • コミュニケーションのスピードアップ

共通言語をうまく使うことは、コトバそのものだけでなく、付随する様々な概念・文脈を含め、短く伝えることを可能にします。これによって、かかわるメンバーやコミュニケーションする相手との認識のズレを減らすことが可能になるのです。

例えば共通言語では、「ラーメン」というコトバで、それが「みそラーメン」を指すのか「塩ラーメン」なのか、それらを含んだ広い「ラーメン」を意味しているのか?が共有できている状態・意思の疎通ができている状態を意味します。あくまで限られたコミュニケーション範囲が対象になりますが、コトバそのものの意味を拡張して伝えることができている状態です。

なぜ共通言語が必要なのか

コミュニケーションには共通言語を使うと効果的です。

コミュニケーションには共通言語を使うと効果的です。

同じチームに所属している場合はもちろん、異なる部門・セクション・立場・企業…を横断し、複数人でひとつのものごとを成し遂げようとする時も、使っているコトバ・認識にズレがあると、論点やアウトプットがズレることにつながり、効率の低下を招くだけでなく、最悪の場合、コミュニケーションが空中分解してしまうのは、言うまでもありません。

そうならないために、認識・理解を一致させるためのツールとしての「共通言語」が必要になります。

「共通言語」と「定義」

ラーメンか?みそラーメンか?それが問題だ!

「共通言語」と似たニュアンスで使われるコトバに「定義」があります。

「定義」とは?

「定義」は、例えばAとBを明確に区別するために、それぞれ「A=C」「B=D」というように、明確に違う内容を1対1であてはめたものです。

「定義」では、「A=C」尚且つ「B=C」などというように「1対複数」の関係はありえません。示す「範囲」「広さ」はコトバにより様々なので、どちらかがもう一方に含まれてしまうことはありますが、コトバの指す「意味」については、正確に1対1の関係でそれぞれをあてはめることで、正確な情報伝達の基礎となります。

例えば、「定義」では、「ラーメン」と「みそラーメン」は別のものを指します。「ラーメン」は、みそラーメンや塩ラーメン・とんこつラーメン…などを含む「広さ」のコトバであり、「みそラーメン」とは別の意味を持つコトバです。

共通言語とは?

これに対し、「共通言語」は、そのコトバが使われた文脈や発信者の意図を含みます

発信者がコトバ「A」を使って伝えようとする内容に、文脈(どのような場面で使われているか)・意図(何を伝えようとしているのか)などにより様々に変化できる部分を(伝わっている前提で)含め、コミュニケーションの効率化を図ったものが「共通言語」です。

共通言語では「ラーメン」という言葉は、状況により、みそラーメンを指すのか、塩ラーメンを指すのか、それらを含む「ラーメン」なのか…が変わるため、「ラーメン」というコトバだけを切り取ること・切り取った「部分」を用いたコミュニケーションは、まったく意味がありません。

また、注意すべきは、共通言語は「限られたコミュニケーションの範囲」においてのみ有効ということです。
「定義」はどのような場面においても「意味」が変わりません。しかし共通言語は文脈・意図により意味が変わるものなので、使用されている文脈・意図を十分に理解することこそが必須になります。

ビジネスコミュニケーションにおける守破離のステップ

ビジネスコミュニケーションにおける守破離のステップを考えましょう

このように共通言語は、コトバそのものだけでなく、状況により意味が変化するツールです。
文脈・意図を正しく把握することで効果的なコミュニケーションが行えますが、すべては「定義」の十分な理解があって成立するものなのです。

守破離の各ステップについてビジネスコミュニケーションの場面を前提に、簡単にまとめてみましょう。

  1. 「守」:定義を理解し、定義を守る
    コトバの意味する内容「定義」を学びます。そのコトバがそもそも何を指すのか?正確に理解しましょう。
    まずは「オフィシャルの情報」「マニュアル」「ルール」を理解し、記載された内容を正確に守って行動することがスタートになります。
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  2. 「破ー1」:相手の視点を理解する
    目の前にある、同じ一つの「ラーメン」について話していても、ラーメンがどれくらい好きか?どんなラーメンが好きか?そもそもお腹がすいているか…などによって(どれくらい)食べたいと思うか?どのような感情を抱くか?は違ってきます。
    コミュニケーションの相手が、ラーメンについてどのような感情を持っているか?今どのような状況に置かれているか?を理解し、お互いが相手の視点で情報を発信することを理解し、「守」を拡張し、進めていきます。
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  3. 「破ー2」「文脈」を理解する
    そのコトバが使われている「文脈」を理解しましょう。
    使われているコトバそのものだけでなく、どのような場面で・どのようなつながり具合で使われているのか?によってコトバの意味は大きく変わります。文脈をたどることで、発信者がそのコトバをどのような意図で使っているかを把握することができます。
    「相手の視点」をベースに、相手がどのような意味を持たせようとしているのか?を理解し、さらに拡張します。
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  4. 「離」コトバに関する認識や理解のすり合わせ
    共通言語は、一度作って終わるものではありません。言語化した一つひとつの「共通言語」に対して、かかわるすべてのセクション・メンバー間で、随時「すり合わせ」「意識共有」のアップデートを行います。
    すべてのセクション・メンバーが正しく認識できているか?また、時代性やチームの状態に合わせて、適切な状態でコミュニケーションできているか?を確認し、アップデートし続けて行く必要があります。
    「離」のステップは、自分がどのような理解でコミュニケーションしているのかを客観的にとらえ、独自の判断で情報発信を行う前提ですが、繰り返しになりますが「離」のステップも「守」「破」があって初めて成立します。再度「定義」「マニュアル」「ルール」に立ち返ることから始めることが大切です。

まとめ:まずは「定義」を理解し守ることから

まずは「定義」を理解し、守ること(「守」のステップ)が重要です

まずは「定義」を理解し、守ること(「守」のステップ)が重要です。
「定義」は、すべての基本となる概念です。まず「定義」を十分理解すること(「守」のステップ)なしに個々人が勝手な認識で「破」や「離」のステップに進む(もしくは「破」「離」からはじめる)こと・それぞれが勝手な「共通言語」を使うことは、コミュニケーションの崩壊につながります。

私たちの業務における「守」のステップは、様々なツールの「正しい使い方」を理解し、正しく運用すること(ルールを理解し・守ること)からはじまります。
私たちは、そうすることで、お客様の成長・繁栄に役立つことができると考えています。

ビジネスの成長・繁栄のために。
ぜひお気軽に ご相談ください。

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