STP分析|成果の出るプロモーションのまとめ方・伝え方
情報を伝える時、効果を最大化するためには『訴求ポイント』を絞ることが求められます。広告はもちろん、WebサイトやSNSの投稿でも、必要な情報をうまくまとめ、的確に表現することで、情報の伝わり方を格段にあげることができます。
訴求ポイントがズレてしまっていると、どんなに優れた商品・サービスでも、その良さが十分伝わらず、思ったような結果につなげることができません。今回は、訴求のまとめ方や組み立て方・より伝わる表現方法についてまとめてみたいと思います。
目次
まずは『誰に?』の明確化
効果的に情報を伝えるには、『誰に(伝えるか)?』『何を(伝えるか)?』『どのように(伝えるか)?』を決める必要があります。中でも『何を?』『どのように?』は『誰に?』に影響を受けるため、まず『誰に?』を明確にするのが良いでしょう。
ペルソナ(商品・サービスの典型的な顧客)を設定するなどの方法もおススメです。
STP分析で訴求をまとめる
『近代マーケティングの父』『マーケティングの神様』ともいわれる経営学者のコトラーが提唱した考え方に『STP分析』があります。
STP分析は、Segmentation(市場細分化)、Targeting(標的市場の決定)、Positioning(自社の立ち位置の明確化)の3つの頭文字をとったもので、市場のニーズを満たす価値と自社商品・サービスの位置を考えるためのプロセスです。
簡単にまとめてみましょう。
Segmentation(市場細分化):
市場におけるニーズをグルーピングし、細分化します。
ポイントは『ニーズで』分類することです。何らかの施策を行う場合は、ニーズに合わせたものを形作ることになります。
広告・SEOやプロモーションなどに使う場合は、年齢や性別などといったデモグラフィック要素による分類だけでなく、必ずニーズ(購入までの『距離(緊急度や必要性)』や『購入する時のこだわり』など)とリンクした分類で考えるようにしましょう。
Targeting(標的市場の決定):
細分化した市場のうち、競争優位を得られる可能性が高い市場を選びます。
『手軽軸(価格が安い・入手が容易・便利 など主に提供方法の差別化)』『商品軸(商品力が強い・独自性/新規性が強い など商品そのものの差別化)』『密着軸(ユーザーニーズにマッチしている・顧客対応力で差別化)』といった3つの軸を意識し、『自社が勝てる市場』を見つけることが大切です。
Positioning(自社の立ち位置の明確化):
細分化・選択した市場でのユーザーへの『ベネフィット』を明確にし、ペルソナの悩みを解決できる手段(ツール)として、自社商品・サービスを訴求します。
『ベネフィット』は、商品・サービスから得られる価値、顧客の問題点の解決策を意味し、『ユーザーにどのような感情を与えられるか?』とも言い換えられます。
例えば、中華料理屋でラーメンを食べる時のベネフィットは、ユーザーにより、単純に『空腹を満たすこと』かも知れませんし『くつろいだ時間を過ごすこと』や『今まで食べたことのないものを食べた感動・驚き・満足感』など違ったものになります。
商品・サービス自体の持つ『強み』そのものではない ということがポイントです。
STP分析の3つのメリット
- ユーザーニーズの整理
特にプロモーションの構成を組み立てる場面では、具体的なユーザー像を想定することは必須です。STP分析は、ニーズをもとにユーザーを特定するステップ(≒ペルソナの設定)が基本となっているため、ムリなく効果的なプロモーションを組み立てることができます。 - 自社のプロモーション構成を明確にできる
S・T・Pの3つのステップを組合わせることで、ユーザー像(ターゲット層)・訴求内容(訴求メッセージ)などが明確にすることができます。複数の部署がかかわる場合も、分かりやすく言語化された情報をメンバー全員で共有することができます。 - 自社商品の強み・優位性を見つけやすい
S・T・Pの3つのステップには、自社商品の強み・優位性を見つけることが組み込まれています。独自の強みを訴求することは、大手を含む同業他社との不必要な競合を避けることにもつながります。
STPを使いこなすためには
あくまで『ニーズで』区分する・絞り込む
ニーズが多様化している現代では、価格を重視するユーザーもいますし、品質や耐久性を重視するユーザーもいます(さらに『品質』のポイント・基準も1種類ではありません)。一般的に品質や機能は、価格とトレードオフの関係にあり、品質を良くすることは価格をあげることにつながってしまいます。
すべてのユーザーの意見を反映することは、結果としてどのユーザーにも見向きもされない中途半端な商品につながります。できるだけたくさんのユーザーに商品を買ってもらいたいからといって、すべて満たそうとするのは逆効果でしかありません。
まずは似たような傾向・ニーズを持つユーザーをグルーピングすることがスタートです。
広告・プロモーションの対象ユーザーを考える時、年齢・性別などの『デモグラフィック要素』のみで区分することが多くなっています。しかし、同じ年齢・性別のユーザーが、すべて同じニーズを持っているとは限らないことは事前に十分理解しておくべきでしょう。
例えば、20代の女性をターゲットとしたファッションブランドであったとしても、『大人っぽいものにあこがれる10代』や『かわいいものが好きな30代』などへのアプローチを行わない必然性はあるのでしょうか?『メインターゲットのみ』にアプローチすることは、購入の可能性を含むサブターゲットを除外してしまっていることかも知れません。特にGoogleをはじめとした近年のデジタル広告媒体は、機械学習によって設定した範囲内で効果の最大化を行う仕組みになっています。もちろん予算などの都合はあるでしょうが、アプローチ対象を『広げてみる』ことが良い結果につながることもある ということは知っておく必要があるでしょう。
『マッチング度』を伝える
特にネット広告などの場合、対象となるユーザーは、多くの同類の商品・サービスの中から『比較して』購入するものを決めていることを理解しておくべきでしょう(あなたが、表示された広告をクリックして、最初に訪れたサイトで購入を決めるか?と考えてみると分かりやすいと思います)。企業はそのような状況で、あえて(能動的に)選んでもらえるように、魅力的なベネフィットを伝えなければいけません。
とはいえ、『他社と重ならないユーザーのベネフィット』を見つけることは、とても難しいことです。商品・サービスで競合他社とそれほど違いを出せない現代において、得られるベネフィットも違いを出しにくいのは現実的な問題でしょう。
おススメは、ユーザーと商品・サービスの『マッチング度』を伝えることです。
『ユーザーのニーズ・課題』の解決案として『商品・サービスの強み・特徴・独自性』を提案することで、ユーザーが商品・サービスを使用している未来をイメージしてもらうのです。ネット広告~ランディングページなら、ストーリーで伝えることもできるでしょう。
また、ベネフィットをうまく伝えるためには、その『裏付け』『証明』となる情報を添えるのも有効です。専門家や利用ユーザーの声、データなどの情報を添えることで『掲載されている情報は正しいのだろうか?』というユーザーが感じる無意識の疑い・疑問を解消します。『マッチング度の裏付け』として伝えれば、ユーザーにとって強力な購入動機付けになるのではないでしょうか。
S・T・Pを行ったり来たりする
STP分析は『S⇛T⇛P』の順で一回だけ行えば良いのではありません。
3つのステップを『行ったり来たり・繰り返す』ことで、内容をより詳しく・深くすることができます。また、今回は『S』からはじめる形をご紹介しましたが、慣れてくれば順序を変えてみるのも良いかも知れません。その場合は、各ステップの目的・そもそもSTP分析を行う目的を十分に理解し、最終的に良い結果を導けるよう、進めましょう。
STP分析も あくまで『ツール』まずは目的を明確に
いずれにしてもSTP分析は『ツール』『手段』のひとつに過ぎません。まずは目的を明確にすることが、良い結果につながるのではないでしょうか。
わたし達アーバンプロジェクトは、まず目的を明確にすることで、最適なツール・手段をご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
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