Facebook広告:不動産業の活用事例

不動産広告としてFacebook広告を活用する事例が増えています。

今回は、不動産業を例に、効果的なFacebook広告について考えてみたいと思います。

その不動産広告、なぜやるのですか?

『そもそも』を考えましょう

その広告、そもそもなぜやるのでしょうか?

突然ですが、不動産広告は何のために行われているのでしょうか?

代理店の立場から考えると、つい『広告を受注すること』を目的にクライアント様へアプローチしてしまいがちで、その奥にある『広告の目的』を考えることが少なくなってしまうかも知れません。

しかしクライアント様が求めているのは、『広告を出すこと』ではなく、広告によって得られる『集客』や『問い合わせ』『資料請求』であり、もっと先にある『売上』『ロイヤル顧客獲得』『ビジネスの拡大』などではないでしょうか?

広告は、あくまで『手段』です。

クライアント様のビジネスを伸ばすために(広告で)何ができるのか?と考えることは、一見遠回りのようですが、結局広告の費用対効果を高めることにつながり、クライアント様のビジネスも成長・拡大だけでなく、『自社と長期的な良い関係構築』にもつながるとても大切なことです。

広告スタートではなく広告を『選ぶ』

では、具体的にどのような考え方で進めるのが良いのでしょうか?ここではふたつの考え方をお伝えします。

(1)『想い』から考える

作り手・売り手の『想い』とは?

クライアント様の物件への『想い』からスタートして、対象となるユーザーを探す考え方です。
『想い』を適切な形・適切な表現でユーザーに届けることがポイントです。

  1. その物件は『誰のためのもの』なのか?
    物件の立地や間取り・価格帯・設備などを踏まえ、クライアント様が思う『どんな人に住んでもらいたい物件なのか?』『どんな人をイメージして作った物件なのか?』を考えてみましょう。
  2. その物件の提供している『価値』は何なのか?
    『価値』は、『1』で想定した立地・間取りなどの『数値・データで表すことのできるメリットそのもの』ではなく、その物件を購入・入居することでユーザーが得られる『〇〇という感情』や『〇〇な気持ち』『〇〇な生活』といったちょっと抽象的なものになります。物件を購入することでユーザーの生活や感情がどのように変化するのか?を考えてみましょう。
  3. 『1』のユーザーはどこにいるのか?
    『1』のユーザーは、普段どのような媒体・メディアから情報を得ていますか?不動産情報の閲覧に限らず、ユーザーがFacebookに接している時間が多いのであればアプローチする『場』として考えてみるのが良いでしょう。

『物件への想い』は、実際にはクライアント様自身も、明確にコトバにできていないことの方が多いかも知れません。広告の成功のためには、『具体化』『明確化』『言語化』のお手伝い(決して誘導ではなく)も大切なアプローチです。

(2)『購入までのステップ』から考える

購入までの、どのステップにいる人に伝えるのか?

物件購入までの『ステップ』でユーザーを分類する方法です。
不動産は高額なこともあり、購入までのステップごとに求める情報やユーザーの行動が大きく違います。「なんとなく考えている」というステップから踏まえると、不動産は実際の購入まで1年以上かかる(かける)ユーザーも多い商品であり、ステップごとに求める情報も違うため、アプローチ方法やアプローチの仕方を変えることが成果につながる第一歩です。より広い(多い)ユーザーを対象にしたい気持ちは分かりますが、ニーズの違うユーザーを対象にすることは、その分メッセージが『薄く』なり、効果的ではありません。イメージを膨らませて、なるべく具体的に『想像』してみましょう。

  1. 不動産購入を検討開始
    ユーザーが不動産の購入を意識しだしたステップです。単純に『住まいが手狭になったから』ではなく『子どもが小学生になったので住まいが手狭になってきたから』というように『なぜ』を繰り返し、検討をはじめた理由を具体的に考えてみましょう。
  2. 希望条件の整理
    ユーザーが物件の情報を集めるのに、基準としている価格帯やエリア・設備などの希望条件を考えてみましょう。ここでも『なぜ?』を繰り返し、具体的に考えることが重要です。
  3. 情報収集
    ユーザーが希望の条件にマッチした物件の情報を、ネット検索、ポータルサイト、口コミサイト、SNSなどのネット媒体やチラシ、情報誌、口コミなどを使って集めるステップです。
    早期のうちは、情報の量を優先させて、希望に合いそうな物件の情報を『片っ端から』集めるユーザーも少なくありません。まず多くのユーザーに情報を届けられるよう、情報発信の『量』や『入手ハードルの低さ(簡単に情報を入手できること)』にも注意しましょう。
  4. 比較検討
    集めた情報の比較検討を行うステップです。最初に決めていた希望条件とのマッチ度・優先順位などが複雑に関係し(中には妥協する場合も)比較検討が行われ、情報が絞り込まれます。
    このステップのユーザーには、他社も含め分かりやすく比較できるまとめ方・表現で訴求することが必要です。提示する情報の信頼性を担保するための『エビデンス(≒データの出所情報)』を添えるのも良いかも知れません。
  5. 決断・契約
    比較検討・絞り込んだ物件から、最終的にひとつの物件が選ばれ、契約が締結されます。実際の入居は少し先になる場合もありますし、購入前のイメージとの乖離がないように十分な説明が必要だったり、気が抜けません。

実際には並行して資金・ローンの計画が進みます。思うようなローンが組めない場合、物件の希望項目のうち・優先順位の低い条件から『妥協』していく場合もあります。さらには、家電品や家具・調度品なども買い足し・買い替えもあるでしょう。このように不動産購入は人により様々なステップを踏むことになります。

(3)ふたつの考え方を組み合わせる

どちらかだけではなく、組み合わせることが大切です

ふたつの考え方は、実際には組み合わせて使うことがポイントです。『想い』で考えてもユーザーはそれぞれ購入へのステップを経ることになります。『購入のステップ』でもユーザーが求める情報や表現は違いますので、ふたつの考え方を掛け合わせ、全体の中で、どのユーザーにアプローチするのかを考えるようにしましょう。

ここまで準備ができて初めてマッチする広告媒体や広告手法を選ぶことができます。

動画広告を使う

動画広告は、多くの情報をストーリーだてて伝えたり、没入感の高いレイアウト・演出が可能です

動画を使った広告はテキスト・バナー(画像)に比べ、より多くの情報量を伝えることができます。

キャッチ―な訴求から込み入った詳細へ順に内容を深めていったり、物件のメリットを順に伝えたり、といったストーリーだてた訴求も比較的簡単ですし、画角をユーザー目線にすることで家族とのやり取り風の没入感の高い訴求も可能ですので、色々考えてみると良いでしょう。

ポイントは『対象者・訴求テーマを絞る』です。

確かに動画では多くの情報を扱うことができますが、情報が散漫になってしまっては逆効果です。購入のどのステップにいる人を対象に、どのような情報を伝えるのか?を明確にすることからはじめてみましょう。ランディングページや来場後の直接商談、配布資料などとの役割分担(連携)も十分に検討すると良いでしょう。

カルーセル広告を使う

カルーセル広告は、複数の画像・動画とリンクを組み合わせた参加型広告です

『回転木馬』が語源ともいわれるカルーセル広告は、複数の画像を横へスライドする形式が特徴ですが、『ユーザー参加型』ということが最大のメリットかも知れません。

通常Facebookのタイムラインは縦に流れるようレイアウトされています。カルーセル広告は、2枚目のカード(画像・テキストなどの組合せ)の一部が見えた状態の画像がユーザーの興味をひく絶妙なレイアウトでタイムラインに表示されますので、ユーザーの注目を集めやすい広告です(一般に静止画の広告よりクリック率は高くなる傾向があります)。

最大10枚まで使用可能な『カード』は、それぞれに別のリンク先も設定可能です。ユーザーの興味が続くようカードを構成することがポイントになります。

カードには、静止画だけでなく、動画やスライドショーも組み合わせることができますので、さらに高度な訴求構成も可能です(2枚目以降のカードは、ユーザーのスワイプで100%表示されたタイミングで差異性が始まります)。

類似オーディエンスを使う

類似オーディエンスは、もとリストに似ているユーザーリストを生成できます

Facebook広告の配信先ユーザー設定は3つに分類されます。
(参:Facebook広告・Instagram広告3つのターゲティング | Digital Solution Media

  • コアオーディエンス
  • カスタムオーディエンス
  • 類似オーディエンス

他の広告媒体と同様、対象となるユーザーの属性や興味関心などで絞り込む『コアオーディエンス』が基本ですが、既存のユーザーリストがあるなら『カスタムオーディエンス』や既存リストをもとに配信先を拡張できる『類似オーディエンス』を使ってみるのも良いでしょう。どのオーディエンスを選ぶか?(≒どんなユーザーを対象にするか?)によって『効果的な』訴求内容・訴求表現も変わってきます。

特におすすめなのは、類似オーディエンスを使った新規ユーザーへのアプローチです。

広告は、対象となるユーザーに的確に情報を届けるのが基本です。

類似オーディエンスでは、既存のユーザーリスト・顧客リストなどを基に『似ているユーザーのリスト』を自動作成してくれますので、新規ユーザーへの配信のリスクを低減することが可能です。もととなるリストには、訴求したい物件と価格帯・間取りなどの特徴が似た物件のリストを使えば、さらに効果的でしょう。

類似オーディエンスでは、通常もととなるリストが1,000人~5,000人にすることを推奨しています。(Facebookは500人以上を推奨)もとリストを『濃い状態』にし、リスト拡張をなるべく少なくして『濃い状態を保ったまま』使用するのが成功のポイントになります。拡張の度合いは1%から10%(1%が拡張が少ない状態10%が最も類似性が低く規模が大きい状)から選択できます。

まとめ

想像することです!リアルに!

いずれの場合もポイントは『想像してみること』です。

もちろん最初は難しいかも知れませんので、クライアント様に聞いてみるのも良いかも知れません。

クライアント様のビジネスやユーザーを俯瞰で・複数の視点で見てみることで、自然と想像の精度はUPします。

今回はFacebook広告の簡単な事例をご紹介いたしましたが、Facebook広告は、他にも様々な施策・展開が可能ですので随時ご紹介したいと思います。まずはお気軽に、ご相談から。お待ちしております。

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